日本の貴重なコケの森29

29)龍頭峡

所在地:広島県山県郡安芸太田町大字筒賀

範囲:龍頭峡(広島県自然環境保全地域)

選定理由:観察路となる車道沿いの法面の多くは湿った岩壁となっていて,多くのコケが生育している.そのため,目の高さでたくさんのコケを容易に観察できる.奥の滝に向かう渓流沿いの遊歩道から沢に降りることも可能で,沢の転石や岩上のコケも近くで見ることができる.車道の法面には,ハイゴケ科,アオギヌゴケ科,イワダレゴケ科などの大形の蘚類の群落が多く,その群落の中にタマゴケ,オオカサゴケ,ホソベリミズゴケなどが生育している.沢の岩上にはクマノゴケやナンヨウトゲハイゴケが見られる.また沢沿いの樹幹や枝には,ヒメクサリゴケ属,カビゴケ属,モーリッシュクサリゴケ属などのクサリゴケ科20 種のほか,ヤスデゴケ科 8 種が記録されている.樹木の枝先から懸垂する蘚類としては,ハイヒモゴケ科の 3 種,ミズスギモドキ,キヨスミイトゴケ,ヒロハシノブイトゴケが生育している.